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kubeadmによる証明書管理
Kubernetes v1.15 [stable]
kubeadmで生成されたクライアント証明書は1年で失効します。 このページでは、kubeadmで証明書の更新を管理する方法について説明します。
始める前に
KubernetesにおけるPKI証明書と要件を熟知している必要があります。
カスタム証明書の使用
デフォルトでは、kubeadmはクラスターの実行に必要なすべての証明書を生成します。 独自の証明書を提供することで、この動作をオーバーライドできます。
そのためには、--cert-dir
フラグまたはkubeadmのClusterConfiguration
のcertificatesDir
フィールドで指定された任意のディレクトリに配置する必要があります。
デフォルトは/etc/kubernetes/pki
です。
kubeadm init
を実行する前に与えられた証明書と秘密鍵のペアが存在する場合、kubeadmはそれらを上書きしません。
つまり、例えば既存のCAを/etc/kubernetes/pki/ca.crt
と/etc/kubernetes/pki/ca.key
にコピーすれば、kubeadmは残りの証明書に署名する際、このCAを使用できます。
外部CAモード
また、ca.crt
ファイルのみを提供し、ca.key
ファイルを提供しないことも可能です(これはルートCAファイルのみに有効で、他の証明書ペアには有効ではありません)。
他の証明書とkubeconfigファイルがすべて揃っている場合、kubeadmはこの状態を認識し、外部CAモードを有効にします。
kubeadmはディスク上のCAキーがなくても処理を進めます。
代わりに、Controller-managerをスタンドアロンで、--controllers=csrsigner
と実行し、CA証明書と鍵を指し示します。
PKI certificates and requirementsには、外部CAを使用するためのクラスターのセットアップに関するガイダンスが含まれています。
証明書の有効期限の確認
check-expiration
サブコマンドを使うと、証明書の有効期限を確認することができます。
kubeadm certs check-expiration
このような出力になります:
CERTIFICATE EXPIRES RESIDUAL TIME CERTIFICATE AUTHORITY EXTERNALLY MANAGED
admin.conf Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d no
apiserver Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d ca no
apiserver-etcd-client Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d etcd-ca no
apiserver-kubelet-client Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d ca no
controller-manager.conf Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d no
etcd-healthcheck-client Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d etcd-ca no
etcd-peer Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d etcd-ca no
etcd-server Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d etcd-ca no
front-proxy-client Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d front-proxy-ca no
scheduler.conf Dec 30, 2020 23:36 UTC 364d no
CERTIFICATE AUTHORITY EXPIRES RESIDUAL TIME EXTERNALLY MANAGED
ca Dec 28, 2029 23:36 UTC 9y no
etcd-ca Dec 28, 2029 23:36 UTC 9y no
front-proxy-ca Dec 28, 2029 23:36 UTC 9y no
このコマンドは、/etc/kubernetes/pki
フォルダ内のクライアント証明書と、kubeadmが使用するKUBECONFIGファイル(admin.conf
,controller-manager.conf
,scheduler.conf
)に埋め込まれたクライアント証明書の有効期限/残余時間を表示します。
また、証明書が外部管理されている場合、kubeadmはユーザーに通知します。この場合、ユーザーは証明書の更新を手動または他のツールを使用して管理する必要があります。
kubeadm
は外部CAによって署名された証明書を管理することができません。kubeadmは/var/lib/kubelet/pki
以下にあるローテート可能な証明書でkubeletの証明書の自動更新を構成するのでkubelet.conf
は上記のリストに含まれません。
期限切れのkubeletクライアント証明書を修復するには、Kubelet クライアント証明書のローテーションに失敗しましたを参照ください。
kubeadm version 1.17より前のkubeadm init
で作成したノードでは、kubelet.conf
の内容を手動で変更しなければならないというbugが存在します。
kubeadm init
が終了したら、client-certificate-data
とclient-key-data
を置き換えて、ローテーションされたkubeletクライアント証明書を指すようにkubelet.conf
を更新してください。
client-certificate: /var/lib/kubelet/pki/kubelet-client-current.pem
client-key: /var/lib/kubelet/pki/kubelet-client-current.pem
証明書の自動更新
kubeadmはコントロールプレーンのアップグレード時にすべての証明書を更新します。
この機能は、最もシンプルなユースケースに対応するために設計されています。 証明書の更新に特別な要件がなく、Kubernetesのバージョンアップを定期的に行う場合(各アップグレードの間隔が1年未満)、kubeadmがクラスターを最新かつ適度に安全に保つための処理を行います。
証明書の更新に関してより複雑な要求がある場合は、--certificate-renewal=false
をkubeadm upgrade apply
やkubeadm upgrade node
に渡して、デフォルトの動作から外れるようにすることができます。
kubeadm upgrade node
コマンドの--certificate-renewal
のデフォルト値がfalse
になっているという[bug(https://github.com/kubernetes/kubeadm/issues/1818)]問題があります。
この場合、明示的に--certificate-renewal=true
を設定する必要があります。手動による証明書更新
kubeadm certs renew
コマンドを使えば、いつでも証明書を手動で更新することができます。
このコマンドは/etc/kubernetes/pki
に格納されているCA(またはfront-proxy-CA)の証明書と鍵を使って更新を行います。
コマンド実行後、コントロールプレーンのPodを再起動する必要があります。 これは、現在すべてのコンポーネントと証明書について動的な証明書のリロードがサポートされていないため、必要な作業です。 スタティックPodはローカルkubeletによって管理され、API Serverによって管理されないため、kubectlで削除および再起動することはできません。
スタティックPodを再起動するには、一時的に/etc/kubernetes/manifests/
からマニフェストファイルを削除して20秒間待ちます(KubeletConfiguration structのfileCheckFrequency
値を参照してください)。
マニフェストディレクトリにPodが無くなると、kubeletはPodを終了します。
その後ファイルを戻して、さらにfileCheckFrequency
期間後に、kubeletはPodを再作成し、コンポーネントの証明書更新を完了することができます。
certs renew
は、属性(Common Name、Organization、SANなど)の信頼できるソースとして、kubeadm-config ConfigMapではなく、既存の証明書を使用します。両者を同期させておくことが強く推奨されます。kubeadm certs renew
は以下のオプションを提供します:
Kubernetesの証明書は通常1年後に有効期限を迎えます。
--csr-only
を使用すると、証明書署名要求を生成して外部CAとの証明書を更新することができます(実際にはその場で証明書を更新しません)。詳しくは次の段落を参照してください。また、すべての証明書を更新するのではなく、1つの証明書を更新することも可能です。
Kubernetes certificates APIによる証明書の更新
ここでは、Kubernetes certificates APIを使用して手動で証明書更新を実行する方法について詳しく説明します。
署名者の設定
Kubernetesの認証局は、そのままでは機能しません。 cert-managerなどの外部署名者を設定するか、組み込みの署名者を使用することができます。
ビルトインサイナーはkube-controller-manager
に含まれるものです。
ビルトインサイナーを有効にするには、--cluster-signing-cert-file
と--cluster-signing-key-file
フラグを渡す必要があります。
新しいクラスターを作成する場合は、kubeadm設定ファイルを使用します。
apiVersion: kubeadm.k8s.io/v1beta3
kind: ClusterConfiguration
controllerManager:
extraArgs:
cluster-signing-cert-file: /etc/kubernetes/pki/ca.crt
cluster-signing-key-file: /etc/kubernetes/pki/ca.key
証明書署名要求の作成 (CSR)
Kubernetes APIでのCSR作成については、Create CertificateSigningRequestを参照ください。
外部CAによる証明書の更新
ここでは、外部認証局を利用して手動で証明書更新を行う方法について詳しく説明します。
外部CAとの連携を強化するために、kubeadmは証明書署名要求(CSR)を生成することもできます。 CSRとは、クライアント用の署名付き証明書をCAに要求することを表します。 kubeadmの用語では、通常ディスク上のCAによって署名される証明書をCSRとして生成することができます。しかし、CAはCSRとして生成することはできません。
証明書署名要求の作成 (CSR)
kubeadm certs renew --csr-only
で証明書署名要求を作成することができます。
CSRとそれに付随する秘密鍵の両方が出力されます。
ディレクトリを--csr-dir
で渡すと、指定した場所にCSRを出力することができます。
csr-dir
を指定しない場合は、デフォルトの証明書ディレクトリ(/etc/kubernetes/pki
)が使用されます。
証明書はkubeadm certs renew --csr-only
で更新することができます。
kubeadm init
と同様に、--csr-dir
フラグで出力先ディレクトリを指定することができます。
CSRには、証明書の名前、ドメイン、IPが含まれますが、用途は指定されません。 証明書を発行する際に、正しい証明書の使用法を指定するのはCAの責任です。
openssl
では、openssl ca
コマンドを使って行います。cfssl
では、configファイルのusagesで指定します。
お好みの方法で証明書に署名した後、証明書と秘密鍵をPKIディレクトリ(デフォルトでは/etc/kubernetes/pki
)にコピーする必要があります。
認証局(CA)のローテーション
Kubeadmは、CA証明書のローテーションや交換を最初からサポートしているわけではありません。
CAの手動ローテーションや交換についての詳細は、manual rotation of CA certificatesを参照してください。
署名付きkubeletサービング証明書の有効化
デフォルトでは、kubeadmによって展開されるkubeletサービング証明書は自己署名されています。
これは、metrics-serverのような外部サービスからキューブレットへの接続がTLSで保護されないことを意味します。
新しいkubeadmクラスター内のkubeletが適切に署名されたサービング証明書を取得するように設定するには、kubeadm init
に以下の最小限の設定を渡す必要があります。
apiVersion: kubeadm.k8s.io/v1beta3
kind: ClusterConfiguration
---
apiVersion: kubelet.config.k8s.io/v1beta1
kind: KubeletConfiguration
serverTLSBootstrap: true
すでにクラスターを作成している場合は、以下の手順で適応させる必要があります。
kube-system
ネームスペースにあるkubelet-config-1.29
ConfigMapを見つけて編集します。
そのConfigMapのkubelet
キーの値としてKubeletConfigurationドキュメントを指定します。KubeletConfigurationドキュメントを編集し、serverTLSBootstrap: true
を設定します。
- 各ノードで、
/var/lib/kubelet/config.yaml
にserverTLSBootstrap: true
フィールドを追加し、systemctl restart kubelet
でkubeletを再起動します。
serverTLSBootstrap: true
フィールドは、kubeletサービングのブートストラップを有効にします。
証明書をcertificates.k8s.io
APIにリクエストすることで、証明書を発行することができます。
既知の制限事項として、これらの証明書のCSR(Certificate Signing Requests)はkube-controller-managerのデフォルトサイナーによって自動的に承認されないことがあります。
kubernetes.io/kubelet-serving
を参照してください。
これには、ユーザーまたはサードパーティーのコントローラーからのアクションが必要です。
これらのCSRは、以下を使用して表示できます:
kubectl get csr
NAME AGE SIGNERNAME REQUESTOR CONDITION
csr-9wvgt 112s kubernetes.io/kubelet-serving system:node:worker-1 Pending
csr-lz97v 1m58s kubernetes.io/kubelet-serving system:node:control-plane-1 Pending
承認するためには、次のようにします:
kubectl certificate approve <CSR-name>
デフォルトでは、これらのサービング証明書は1年後に失効します。
KubeadmはKubeletConfiguration
フィールドrotateCertificates
をtrue
に設定します。これは有効期限が切れる間際に、サービング証明書のための新しいCSRセットを作成し、ローテーションを完了するために承認する必要があることを意味します。
詳しくはCertificate Rotationをご覧ください。
これらのCSRを自動的に承認するためのソリューションをお探しの場合は、以下をお勧めします。 クラウドプロバイダーに連絡し、ノードの識別をアウトオブバンドのメカニズムで行うCSRの署名者がいるかどうか尋ねてください。
サードパーティーのカスタムコントローラーを使用することができます。
このようなコントローラーは、CSRのCommonNameを検証するだけでなく、要求されたIPやドメイン名も検証しなければ、安全なメカニズムとは言えません。これにより、kubeletクライアント証明書にアクセスできる悪意のあるアクターが、任意のIPやドメイン名に対してサービング証明書を要求するCSRを作成することを防ぐことができます。
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